大切な家族の一員であるペット。もちろんできる限り長く一緒に過ごしたいですが、命ある生き物である以上いつかは別れがやってくるもの。近年では、ペットとの別れが来た時に心残りが少なくて済むよう、事前に最後の思い出作りや心の準備を行う「終活」の考えが広がっています。そこでここでは、ペットの終活でやるべきことについて具体的に解説します。
1.ペット保険への加入や見直しを考えよう
高齢になったペットは、どうしても病気や怪我のリスクが高くなります。しかしペットには公的な医療保険がないため、動物病院での診察や治療は全額飼い主の負担となってしまいます。医療費の備えがないために望む治療が受けられず、ペットを苦しませてしまうという事態を防ぐために、終活を考え始めた段階で民間の「ペット保険」への加入も検討してはいかがでしょうか。
ただし、ペット保険への加入に対してはいくつか留意すべき点も存在します。まずは補償範囲についてです。ペット保険の補償タイプは大きくわけて、診察や治療にかかった費用に対して常に一定割合の補償が受けられる「定率補償タイプ」、費用にかかわらず1回の診察や治療に対して一定金額の補償が受けられる「定額補償タイプ」、補償限度額内であれば治療費が全額補償される「実費補償タイプ」の3種類となります。
それぞれにメリットはありますが、補償限度額を超えた分については自己負担となりますので、治療費の総額と加入プランによっては自己負担額が高くなってしまうことも。大きな怪我や病気の心配が少ない若い間は定率補償タイプのプランに加入し、老齢になって高い治療費がかかるリスクが高まったら実費補償タイプのプランに切り替えるなど、臨機応変に対応しましょう。
また、ペット保険には加入にあたって年齢制限がある場合も。高齢になるほど保険料が上がったり、受けられる補償内容に制限が出てくることもありますので、既に保険に加入済みであったとしても油断せず、一度契約内容を見直してみることをおすすめします。
2.思い出をいろいろな形で残そう
お別れの後に後悔することが少ないように、ペットとの別れが近づいていると感じたときは一緒に過ごす時間を増やし、たくさんの思い出を作ることも大切です。楽しかった日々を後から思い出せるように、写真や動画を撮り、アルバムなどの形で整理して残しておくのもよいでしょう。
思い出づくりに決まった方法はありません。例えばペットとの出会いからこれまでの軌跡をたどっていろいろな場所に出かけたり、亡くなる前に会わせたい人のところに連れていったりなど、ひらめいたアイデアを思いつくままに実践していきましょう。
3.後悔しない見送り方を考えよう
どれだけ手を尽くして治療を行い、大切に思い出を積み重ねていったとしても、別れというものは訪れます。その時に、どのように大切なペットを見送るかは事前に考える必要があります。家族がいる場合は、いざという時になって揉めることがないように事前に全員の合意をとっておくとよいでしょう。
ペットを火葬する場合、複数のペットを同時に火葬する「合同火葬」と1体ずつ火葬する「個別火葬」の2パターンが考えられます。前者の場合は費用は比較的安く抑えることができますが、火葬場への付き添いはできず、また火葬後は共同墓地への埋葬となるため、遺骨を持ち帰ることはできません。後者の場合はどうしても費用が割高になりますが、最期のときまで大切なペットと一緒にいることができるほか、お骨拾いや遺骨の持ち帰りも可能になります。金銭的な面も踏まえて検討したうえで、後悔の少ないようにお見送りをしましょう。
また個別火葬の場合、遺骨の供養方法も自分で考えることができます。自宅に持ち帰って供養する手元供養のほか、海や山への散骨、ペット霊園での供養、飼い主と同じお墓に入るという方法もあるため、家族がいる場合はよく相談しながら、最後までしっかりと対応してあげましょう。
ペットを無事に見送った後は、遺品整理についても考える必要があります。遺品も思い出の品ですから、なかなか手放す気になれない人も多いでしょう。もちろんそのまま保管しておくのも一つの選択肢です。もし手放すと決めた場合でも、ごみとして捨てるのは忍びないと感じるのであれば、神社やペットの葬儀業者などに遺品供養・お焚き上げをお願いしてはいかがでしょうか。遺品整理専門の業者もいるため、遺品の材質などで困ったときには依頼するのもよいでしょう。
もしかしたら、ペットの毛や羽、ヒゲといった体の一部を遺品として残したいと考える人もいるかもしれません。その場合は、保管方法に十分な注意を払いましょう。カビが発生しないように、防湿効果の高い保管ケースや桐の箱などの中に入れ、湿気から大事な遺品を守ることをおすすめします。
まとめ
ペットの終活としてはまず、生きている間は穏やかに過ごしてもらえるよう、ペット保険の加入や見直しを検討して十分な治療が受けられる基盤を整えておくとよいでしょう。それと並行して、ペットと過ごした日々を形あるものとして残すこともおすすめです。亡くなってしまった後も、埋葬方法や遺品整理など決めなければならないことはたくさんあります。いざというときに焦らないよう、早めに終活をはじめてみてはいかがでしょうか。